平成19年 第3回定例会・一般質問  9月25日

水害対策について

現在、野方の妙正寺川取水施設に東京都が新たに設置したカメラからの映像、また、神田川に東京都が設置した監視カメラの映像も中野区には配信されていない。これらの映像が中野区にも配信されるように東京都に強く要望すべきと考えるがどうか。河川情報も、水害を少なくする上から、河川の水位などが予測できる仕組みが大切。現在、区は杉並区などの隣接区の河川情報を受けているが、その水位情報などを区民の皆様にケーブルテレビなどを活用して伝えるべきではないか。

河川情報の公開について、水害対策に関連して、妙正寺川の環七での取水口の監視カメラは取水施設工事現場内だけの仮設カメラで、送信ルートに接続されていない。本年度の末には監視カメラが本設される。監視カメラの映像は、河川施設の運用を主たる目的としているということから、映像に含まれる個人情報の取り扱いなどの条件を整理した上で公開していくべきではないかと考える。東京都と調整を行っていきたい。

2008年度より東京都は気象庁と共同で、神田川の1時間後の水位を予測して住民に知らせるサービスを開始する。もし1時間前から水位の予測ができれば、安全確保が事前に行える。特に高齢者や障害者への避難体制が十分に行うことができる。この水位予測システムは、神田川水系だけでなく、妙正寺川水系にも活用するように都へ要望すべきと考えるがどうか。JCN中野ケーブルテレビでの防災情報は、画面上にL字型の表示で神田川と妙正寺川の現在の水位の簡易情報が表示されていたが、画面が小さく、河川の断面図から明確な水位がわからない。水位予測システムの情報を取り入れるとともに、今後、デジタル放送化へ向けて、水位情報をわかりやすく数字で示すような検討を行うべきだと思うが、区の考えを問う。

この水位予測システムが区内では大変有用になります。東京都ではこの水位予測システムの情報を区や市に今後提供するとのことなので、区としては、この情報をもとに、事前避難・誘導の判断材料として活用していきたいと。また、神田川や妙正寺川の上流域の雨量、水位情報については、現在、河川情報システムにおいて把握をしているところ。上流域での雨量、水位情報を区民にどう提供するか、ホームページの活用とともに、Lウインドウについても、よりわかりやすく、また、効果の高い情報が提供できるよう、改善に取り組んでいきたい。

洪水の警報が発令されたとき、まず高齢者や障害者など災害弱者への対応が大事。高齢者や障害者へ電話での状況確認、避難所への誘導をするための(仮称)「安心ほっとライン」を創設すべきと思うがどうか。また、電話で避難の要請があった場合には、町内会や民間協力団体と連携して、迅速な対応をしていただく。場合によっては、区有車などを活用して、避難所への輸送など安全確保の対策もできると考えるがどうか。

災害情報というのは、基本的に速やかに一斉にどなたにも同じように伝達されることがまず必要。個別に電話による情報提供は、かなりの手間と体制が必要となってくる。難しい面はあるが、御指摘ように、どこで水害が起きているのか、過去に被害に遭った場所については、把握が可能であり、個別の電話による情報の伝達について検討していきたい。また、庁有車の活用については、区内の要所要所に地域内広報や地域内の状況を巡視するための庁有車があり、緊急避難所を開設した場合に、住民の誘導などに活用できないか検討して、臨機応変な対応をしていきたい。

震災対策について

ことしの7月16日、新潟県中越沖地震が発生した。マグニチュードは6.8、震度6強という大きな揺れが柏崎市を中心に甚大な被害を与えた。私も8月中旬に柏崎市へ行ってボランティア活動に参加した。倒壊した建物や道路の陥没や縁石のゆがみ、さらには電柱の傾きなど、何キロにもわたって被害の傷跡があらわになっている光景に大変な衝撃を受けた。そこで、中野区において、直下型地震の被害想定を中野区地域防災計画やホームページ上で示されているが、地震規模はマグニチュード7.2で、死者数516人、負傷者数3,475人と甚大な被害が想定される中で、下水道被害率は何と0.0%、都市ガス機能支障率も何と0.0%と示されている。柏崎市では地震発生から1カ月が経過しても、ガス会社の車がガス機能の復旧作業に追われている。中野区の下水被害、ガス機能支障が全く起こらないとの想定は現実離れをしているのではないか。区民の震災対策の意識低下にもつながると考えるがどうか。

中野区で現在発表しているのは、平成9年に公表された直下型地震の被害想定で、これはそれぞれの関係機関が調査研究して算定した数字を掲載している。新潟県の状況と都内とでは、施設設備あるいは液状化の状況など違いもあり、必ずしも同程度の地震だから同じ被害になるとは限らないと考える。なお、平成18年5月に首都直下型地震の被害想定が改定されている。新たな被害想定の数値について、ホームページに早急に反映していきたいと思っている。

また、中野区は、木造住宅の密集地域も多くあり、耐震化の無料診断をホームページやチラシを全戸配付することで区民に知らせているが、さらなる啓発を促す必要がある。例えば日本建築防災協会では、1981年5月以前の建物かどうか、また、浸水被害に遭ったことがあるかどうかなど10項目のチェックをして自己診断をするホームページがある。このように区としてもホームページで耐震化無料診断の自己診断コーナーを開設し、自己評価を行い、メールで的確なアドバイスをすれば、区民の耐震化への意識向上が図られるものと思うが、所見を問う。

木造住宅耐震診断事業の啓発活動としては、メールでの耐震相談は既に実施しているが、ホームページを活用して、区民がみずから簡易耐震の評価ができる仕組みについては、提案を受けて検討していきたい。

中野区では、被災ごみの置き場はどこを想定されているのか。また、平成17年の水害を受けて、家電製品の回収は区が行い、負担することになったが、家電の廃棄や新規購入費も区が全額負担されるのか。

災害時に排出されるごみについては、収集可能な公有地を利用して、臨時集積所とする計画となっている。罹災した場合のごみ処理経費については、区の負担とするということで考えている。家電ごみについても同様に区が負担することにしている。

震災時には中野区では、中野区社会福祉協議会にボランティア対策本部が開設される。そこを拠点として、災害対策本部と連携をとり、ボランティアの参集拠点に的確にかつ迅速に指示を出して救援活動を実施しなければならない。その場合、ボランティアの受け入れは大変な混雑が予想されるため、参集拠点となる広域拠点をどこに開設するかが問題となる。災害対策本部の設置される区役所に近いサンプラザ広場などに広域拠点を設けるのが機能的と考えるが、所見を問う。

被災時のボランティア本部の設置について、事務局的にボランティアの動きをコントロールするのが中野区社会福祉協議会の役割となっているので、中野区社会福祉協議会と協議をして、区役所にも近く、ボランティアの方も動きやすい場所を設定してまいりたい。

自然とのふれあいと文化の薫るまちづくりについて

(1)「ほたるの里構想」の実現に向けて

「ほたるの里構想」は、我が会派の提案によって区の事業となったもの。 区民の皆様のほたるの里への思いは熱く、1日も早く中野にホタルをとの声があがっている。今年度は江古田の森でホタルの生息に関する研究がされており、思い切って江古田の森公園のビオトープを「ほたるの広場」と名づけて「ほたるの里構想」実現への姿勢を示してはどうか。また、来年の夏に向けて、「ほたるの広場」と名づけたビオトープのあたりで「ホタルを楽しむ会」などを企画してはどうか。さらに、「ほたるの里構想」実現に向けての第一歩として、ホタルの飼育施設の設置を検討してはどうか。

江古田の森公園で現在、ビオトープとする予定になっている池の付近と、ここで飼育に向けて水質や地質の調査を行っている段階。仮に飼育が可能となった場合でも、区としてホタルを飼育したり管理するというのは、なかなか難しいと思っており、地域などの区民の皆さんが飼育や管理等の体制を確立していただくことを前提に、ホタルの施設の設置等についても検討していきたい。

現在の沼袋駅北口付近の整備も南側の整備に合わせて推進すべきと考えますが、いかがでしょうか、うかがいます。

線路敷沿いの北側道路は、連続立体交差事業の完成後も道路として継続する考えであり。さらに区としては鉄道敷地の一部も駅前広場と連携した一定の歩行者空間としての機能を確保したいと考えており、今後、西武鉄道と協議を進める考えである。また、連続立体交差事業や駅前広場、関連街路の整備にあわせて、北口周辺の地権者の方々へもまちづくりを提案していきたい。

(2)アーティストの支援について

中野区には多くのアーティストがいます。こうしたアーティストを支援するために、また、区として文化・芸術のまちづくりを進めていく上で、大きな公園でコンサートやライブを開催していく必要があると思う。江古田の森公園に限らず、平和の森公園や紅葉山公園などで中野区がバックアップをする形で区民コンサートやライブを行ってはどうか。

区が主催してコンサート等をするというのは、基本的に文化・芸術は、区民の自由な発想と活動から生み出されるものであり、コンサートやイベント等について、区民の側からよい企画があれば、区も共催などの形で関与したり支援するといったようなことも検討していくべきと考えている。

中野区内の芸術家と区長との懇談会の開催について、区長は、「区内の文化芸術家の方々と懇談をして意見交換をする機会を考えていきたい」と答弁されたが、現在どのように進められているのか。

アーティスト、芸術家の皆さんと私が懇談をする場は、中野のまちの活力や魅力をつくり出していく中での一つの情報や、ヒントをいただく、そのことから取り組みの広がりをつくり出す、そういった位置付けで行うべきと考えており、まちの活力や魅力を生み出す企画をしていく中で位置付けて行っていきたい。

文化・芸術振興プログラムについて、18年度中に作成するとのことだったが、いまだに発表されていない。進捗状況と今後の取り組みについて示せ。

文化・芸術振興プログラムの策定に当たり、平成18年1月に文化・芸術に関する懇談会報告を受けた。この報告の内容は、文化・芸術を産業振興や地域の活性化と結びつけるというもので、区として、検討の中心を文化・芸術を素材とした今後の中野のまちづくりとし、中野のまちの魅力の発信に向けたさまざまな施策の検討を進めているところ。一方、区民の日常生活への文化・芸術の浸透や地域の伝統文化の保存と継承など、本来の文化・芸術振興に関する具体策については、教育委員会が、平成20年度の策定を目途に検討を始めたところ。

我が会派の質問で、ロビーコンサートについてたびたび提案してきた。区として文化や芸術に触れる機会を積極的につくることは、文化の土壌をはぐくみ、まちづくりの活性化につながっていくと思う。区民への行政サービスの面からも実施すべきであると考えるがどうか。

区役所のロビーでのコンサートについては、開催に向けて、引き続き検討させていただきたい。

10か年計画で学校の統廃合によって桃丘小学校は文化・芸術の活動拠点として活用されることになっている。区内の芸術家やアーティストは大変興味を持って注目している。具体的にどのように文化・芸術の拠点づくりを進められるのか。

桃丘小学校の跡地では、アーティストとか、さまざまな才能を持った方たちの創作活動などによって、まちのにぎわいを生み出したり、新しい産業の活力につなげていく場として整備をしていきたい。

自転車の交通対策について

中野区での自転車事故の統計によれば、平成17年度の子どもの交通事故全体に対する自転車事故の割合は65%と非常に高くなっている。自転車事故対策として、子どもに対する自転車の交通安全講習会を全学年に広げるべきである。その際、講習会に検定方式を採用し、技能の段階に応じて、初級・中級・上級のランクアップを目指せるようにしてはどうか。シールやワッペンを発行すれば、参加者は達成感を感じ、交通安全や交通マナーに対する意識も高まると考えるが所見を問う。また、高齢者の自転車事故もふえている。高齢者に対しても、町内会や友愛クラブなどに声かけをして、学校や高齢者会館を利用して実技指導を含めた講習会をすべきと考えるがどうか。

区内小学校での交通安全講習会は、PTAを中心に警察や自転車商組合の協力のもとで開催している。現在3・4年生を対象とした講習会が多いが、この講習内容につきましては、各PTAと所轄警察署が協議を行い、それぞれ工夫を凝らし、開催しているところ。区としては、できるだけ多くの参加が得られるよう支援してまいりたい。また、高齢者向けの交通安全講習会については、高齢者会館に限らず、多くの高齢者が参加しやすい講習会の開催について、警察と協議し、区としても、協力してまいりたい。

現在、沼袋地下駐輪場の利用時間は午前6時30分から深夜午前零時までとなっているが、西武新宿線沼袋駅の始発は午前4時46分、終電は午前0時58分となっているので、始発・終電を利用する人は沼袋地下駐輪場を利用することができない。利用する時間に格差があるのは公平さに欠ける。ぜひ沼袋地下駐輪場も他の地下駐輪場と同様の利用時間にすべきと考えるがどうか。

沼袋地下自転車駐車場の利用時間については、開設時間を延長する方向で検討している。

安全・安心のまちづくりについて

中野区の犯罪発生件数は減少傾向にあるものの、平成17年度は5,958件と1日平均16件とかなりの件数に上っている。また、町丁別犯罪発生件数を見ると、地域によっては増加しているところもあり、さらなる対策を講じる必要がある。警察OBで結成された区民パトロール隊のメンバーが巡回のさなか、一戸建て住宅やマンションを訪ねて、専門的な観点から診断し、防犯に対するアドバイスをしてくれる仕組みをつくってはどうか。

防犯対策については、区内の犯罪で各区民の努力によって発生抑制の効果が期待できるものとして、空き巣、ピッキング等の侵入盗対策がる。その減少を図るために、防犯診断など何らかの取り組みを検討していきたい。

また、中野区において、防犯対策の一つとして151の防犯パトロール団体が登録されており、地域の安全・安心のために積極的に活動を続けられている。防犯のさらなる抑止効果を高めるために、防犯講習会を開催する必要があると考える。自主防犯団体のパトロール活動中での危険の回避を含めて、専門的な知識や経験のある警察OBの方による防犯講習会を実施してはどうか。

防犯パトロール団体への講習会等については、現在も防犯パトロール団体の交流会などの場において、講習会や情報交換会等を行っているところ。今後とも警察との連携、協力によって、講習会等を実施をしていきたい。

小・中学生をねらった犯罪が増加傾向にある中、登下校での児童・生徒の安全対策に力を注がなければならない。中野区では、学校の統廃合により防犯活動の範囲の拡大が深刻な問題となっている。新たな通学路の設定に伴い、危険箇所の設定などの安全対策を講じる必要があるが、区の考えを問う。

通学時の安全確保については、安全な通学路の指定とか、通学方法のあり方などについて、関係機関などとも調整を図りながら検討していきたい。

成年後見人制度の充実について

成年後見人制度は、2000年度より国の制度として開始され、高齢者や障害者などの権利保護のために、本人や親族の申し立てで後見人を選ぶもので、その内訳は、親や子の親族が8割、それ以外は弁護士や司法書士といった法律の専門家が多くなっている。高齢化が進む中、身寄りのない高齢者が対象となる場合も増加しつつあり、後見人のニーズが高まってきている現状を踏まえ、独自に後見人の養成に力を入れてきている自治体もある。中野区においても、一般区民向けの後見人の養成講座を実施して、成年後見人制度の充実を図るべきと考えるがどうか。また、後見人が親族以外の場合には、低所得の高齢者や身体障害者にとっては、経済的にかなりの負担となる。低所得者などへの負担軽減のための報酬料の助成制度を導入すべきと考えるが、区の見解を問う。

成年後見制度をより一層利用しやすくするため、法律や福祉などの関係団体からの参加を得て、成年後見制度推進機関検討委員会を設置する。そこで、後見人等へのサポートのあり方や対象者本人への支援策等について検討したい。

中野区で成年後見人制度を利用している方は非常に少ないと聞いているが、今現在、何名ぐらいの方がこの制度を利用されているのか。

区として成年後見制度を利用している区民がどれだけいるかという全体の数字は把握していない。ただ、身寄りがないなど特別な場合についは、区長が申し立てるという制度がある。この仕組みを使い、平成18年度は9件の申し立てを行っている。

高齢化社会が進む中、ますますこの制度の必要性は高まっているが、利用者が少ないのは、この制度の周知が徹底されていないのが原因。区として、例えば区報やその他の広報物で窓口のお知らせや、この制度を利用されたときのさまざまなケースを紹介したり、成年後見人制度に関する講習会を区役所や地域センターで実施するなど、成年後見人制度のPRをもっと積極的にすべきと考えるがどうか。

成年後見制度のPRについては、パンフレットの窓口の配置、また、ホームページなどでお知らせをしているほか、社会福祉協議会の中にアシストなかのという権利擁護センターを設置しているが、ここに委託して、地域センターでの説明会や無料の法律相談会などを行っている。