平成24年 第2回定例会 一般質問 6月8日

1.防災・減災対策について

(1)ブロック塀の安全確保について

先日、東京都が公表した首都直下地震による新たな被害想定によれば、中野区におけるブロック塀の倒壊による死者。負傷者数は、これまでの想定に比べて大幅に減少している。区は、このことをどのように考えているのか、伺う。

今回の被害想定で、ブロック塀の倒壊を原因とする死者・負傷者の数が大幅に減少していることについては、建物の建替え時のブロック塀撤去等が進んだこともあるが、一定の条件下での想定が示されたものであり、ブロック塀による被害そのものが無くなるわけではない。したがつて、区内でのブロック塀の安全確保に向けた取り組みは、今後も必要であると考えている。

以前区が実施した、ブロック塀の状況調査等を活用しながら、必要に応じて更に調査を進め、ブロック塀の安全対策に取り組むべきではないかと考える。例えば、ブロック塀を撤去してセットバックや生け垣化等をする場合、ブロック塀の撤去費用を助成する等の支援策は考えられないか、伺う。

ブロック塀の倒壊による被害を防止し、安全を確保するために、現在実施中の生け垣・植樹帯設置助成等を活用しながら、更に有効な施策についても検討し、取り組んでいきたい。

(2)色覚障害者への防災情報の提供について

気象庁では、色覚障害者等がホームページを見やすくなるように配慮し、警報・注意報等の情報の色の統一や、見えにくい色の混在を避ける等、配色について改めたとのことである。中野区の防災気象情報についても、色覚障害者に配慮し、配色を検討すべきと考えるがいかがか。また、ハザードマップや防災地図についても色合いを変更すべきと考えるがいかがか。

防災関連の情報提供については、色を活用して視覚にうったえる方法を多く採用している。色覚に障害のある方々においてもそうした情報を活用し、災害へ備えて頂けるよう、気象庁の出した「気象情報の配色に関する設定指針」も参考にしながら現行の配色等について検証し、可能なものから順次見えやすくする工夫を行っていきたい。

(3)エリア・ワンセグについて

エリア・ワンセグは、限られた区域において有効であり、いろいろな活用が期待できるものである。中野区として、ケーブルテレビ会社や通信事業者などと検討部会を立ち上げ、実証実験を行ったり、基盤整備をすすめるなど、推進していくべきではないか。

エリア・ワンセグについては、これまで、ケーブルテレビ会社や通信事業者などにより、限られた地域において実証実験が行われている。実験の性質上、きわめて狭い範囲の放送であり、どこまで拡大できるか技術的な課題があると聞いており、区としてはこれらの点を確認しながら研究して参りたい。

(4)水防対策について

昨年、風水害が実際に発生した際に、区のホームページの防災気象情報にアクセスが集中し閲覧できない状態になった。すぐに、同程度のアクセスが集中しても支障が発生しないように、委託先の会社に改善を図らせたとのことであった。しかし、実際のところ本当に大丈夫なのであろうか。そこで、区民に呼びかけ、実際にアクセステストをして確かめてみてはどうか。

防災気象情報へのアクセス集中については、サーバー自体へのアクセス数制限設定の調整やサーバー内部における通信数の割り当ての変更等の対策を講じ、昨年の風水害時に発生した際と同程度のアクセスが集中しても支障がないよう対策を行っている。具体的には、改善前は、およそ1秒あたりのアクセス数の限界が200だったものを800に、また、防災気象情報サイトにおける情報処理能力を、改善前の3倍強にしている。このことから、区民に呼びかけアクセステストを行うようなことは考えていない。

区では妙正寺川にカメラを設置して、映像をホームページで配信している。神田川については、東京都がカメラを設置しているが、その映像は中野区のホームページでは公開されておらず、区民は見ることができない。区として、映像を区民に配信できるよう、引き続き東京都に強く要望すべきと考えるがいかがか。

東京都が神田川に設置している、監視カメラによる映像配信については、区民に対し迅速な防災情報を提供していくため、これまでも東京都と協議を行ってきたところである。しかし、監視カメラの設置は河川管理施設の運用を目的としていること、区民の個人情報が映像に含まれる可能性があることなどから、映像配信については行われていない。区としては東京都に対し、神田川に設置している監視カメラの映像配信を今後も、引き続き、要望していきたいと考えている。

2.学校施設等の安全対策について

(1)防火シャッターについて

現在、自動停止装置付きのものが10校で設置されている。平成21年の決算特別委員会で質問した際、設置校が10校で、今後、学校の大規模改修や統廃合による施設改修で計画的に取り付けると答えた。この3年間全く現状が進んでいない。教育委員会はこのような現状をどのように捉えているのか。また、すぐにでも計画を立て最優先で設置するべきと考えるがいかがか。

設置校は10校と変わらないが、昨年度、2校で自動停止装置付きのものに一部改修している。今年度は谷戸小学校東校舎、来年度は中野中学校校舎で 新規に設置する予定である。今後も学校の大規模改修や統廃合における施設改修の際に改善を図っていきたい。

(2)転落事故防止について

昨年の6月、兵庫県篠山市で小学生が図書館の窓から落ちて死亡する 事故が起った。教育委員会を初め、保護者と学校とで危険性の認識を深めるため、転落事故の具体事例などの勉強会を実施するべきではないか。また、一斉点検を行った上で、窓枠に転落防止柵や窓側にロッカーなど を置かないなど、具体的な安全対策を講じるべきと考えるがいかがか。

随時、教育委員会と学校とで、転落事故等を未然に防ぐように点検している。また、毎年、実施しているPTAの学校施設点検に子ども教育施設担当が同行し、施設の危険個所について、学校、保護者との間で情報共有に努めている。施設の安全点検の際に、転落防止を含めて専門的な見地から経営室施設分野と連携し実施していく。一部の学校では窓手すりなどを付けているが、今後も必要に応じて転落防止の措置を講じ、窓際にはロッカーなど置かないように注意を喚起する。

(3)空調設備について

空調設備は、平成15年度に10年リース契約で、全小中学校に一斉に導入した。来年6月に10年目を迎えることになる。教育委員会では、リース期間終了後、譲り受けるようであるが、新たにリース契約をし、普通教室はもとより特別教室も一斉に新しい空調設備を入れ換えるべきと考えるがいかがか。また、現在使用している空調設備は古いので、性能効率を上げるため、区としてメンテナンスを実施すべきと考えるが、区の見解を伺う。

現在のリース契約終了にあたっては、個々の機器の状況を見ながら、機 器の導入方法等について検討していきたい。現在、メンテナンスのために委託契約を結んでいるが、内部清掃は含ま れていないため、今後検討していく。

(4)放送設備について

放送設備は型番の古いものが多く、様々な支障が出ている。放送設備は緊急地震速報システムにも連動しており、ダウンした際には、使用できない可能性がある。このような状況について、区はどのように考えているのか。また、古い放送設備について、計画的に新しい放送設備に変更していくべきと考えるがいかがか。

緊急地震速報システム及び放送設備は、毎月1回テスト放送を実施し、機器の状況を確認している。放送設備に支障があれば、必要に応じて整備又は更新をしていく。

(5)通学路について

最近、学校への登下校時に多数の児童が巻き込まれるような痛ましい交通事故が跡を絶たない。通学路の安全対策のため、通学路の危険箇所について学校や保護者が情報を共有するとともに、通学路の一斉点検をすべきと考える。そのうえでハード面の対策として、自動車の速度を抑制できるよう、簡易デバイス(ゴム製ポール)を設置して道幅(車道)を狭くする方法や、カマボコ状の突起を用いたハンプを置くような手法があり、すでに埼玉県熊谷市、大阪府藤井寺市や文京区など交通社会実験を行っている。中野区でも通学路の点検で危険と思われる箇所に、交通管理者と協議連携して、自動車の速度抑制のための交通社会実験をしてみてはどうか。

通学路における児童の安全を確保することは、大切なことと考える。今後、通学路における安全対策を考えていく中で、ご提案のような、自動車の速度を抑制できる装置が必要となる箇所やその効果を、警察等関係機関に確認しながら研究してまいりたい。

(6)窓ガラス飛散防止対策について

現在、学校の窓ガラスは、教室の校庭側では強化ガラスに変更して安全対策が施されている。また、廊下側は、欄間窓に飛散防止フィルムを張って安全を確保している。ところが、廊下の外側の窓ガラスは耐震化されていない。学校は避難所にもなることから、安全性の確保のために、早急に飛散防止対策をするべきと考えるがいかがか。また、改善されていない窓ガラスがないかどうか、全小中学校の窓ガラスを対象に、耐震点検を実施するべきと考えるが区の見解を伺う。

教室については外側廊下側も、窓ガラスの耐震性が確保されている。今後は学校施設全般について調査を行い、教室に接する廊下の外側など緊急度の高いものからガラスの交換促進や飛散防止フィルムを貼るなど飛散防止対策を講じていきたい。

3.高齢者施策について

(1)区が管理する住宅における単身高齢者の見守りについて

高齢者の見守りのため企業各社が様々なサービスを提供する動きが盛んであり、携帯電話の企業の中には、携帯電話の開閉回数などを自動的にメール配信するサービスもある。端末機器は2万円で利用料は月1,000円程度である。区が管理する住宅に住む単身高齢者に対しては、携帯電話の自動メール連絡のしくみを自治会や管理者が受け皿となって安否確認できるよう区としても支援すべきである。端末機器は自己負担で月々の使用料のみ区が補助するという見守り対策を実施すべきと考えるが、いかがか。

区の福祉住宅では、管理人を常駐させている他、緊急通報システムにより対応できる体制となっているため、現在のしくみで対応してきたい。区営住宅については、孤立死対応に向け異常時の立ち入りの基準を見直す等、区の緊急時の態勢を整備するとともに、各団地自治会に見守り活動への協力を依頼しているところである。携帯電話機能に限らず見守りのサービスについては、様々なものが発表されており、今後、見守り対策に活用できるか研究してまいりたい。

(2)要介護認定者の外出促進について

渋谷区では区内の協力店で使える割安食事券を6月15日から販売する予定である。これは介護保険で要支援1以上の認定を受けている人であれば、1冊2,500円(10枚綴り)のものが1,000円で購入できるというものである。要介護認定者の介護予防のための外出促進と商店街振興の二つの意味のある施策である。ぜひ区でも取り組むべきと考えるが、いかがか。

区では、高齢者の健康維持、介護予防、交流を目的として、健康体操、カラオケ教室、七夕等の季節行事を高齢者会館で実施している。また、高齢者農園や区内公衆浴場でのいきいき入浴、はつらつ事業等を行っており、ご提案の事業に取り組むことは現在のところ考えていない。

4.中野駅周辺まちづくりの活性化について

静岡県磐田市では、大規模開発により道路や大型商業施設が建設された際に、市道や公共施設にネーミングライツを募集し、まちの活性化に繋げている。ネーミングライツを地域活性化の政策に位置付けて活用している。中野駅周辺まちづくりの活性化のためにも、中野四季の都市(まち)のF字道路、L字道路は、中野四季の都市に進出するキリンビール、栗田工業、明治大学、帝京平成大学、早稲田大学などに働きかけて、ネーミングライツを募集したらどうか。また、中野駅北口の東西連絡路は、ネーミングライツを募集したり、壁面広告を検討してはどうか。

ネーミングライツや広告については、できる限りの取組みを行う考えである。ご提案の場所についても、他の施設等と同様に、実施の適否を検討してみたい。