平成25年 第4回定例会 一般質問 11月26日

1.水害対策について

最近の都市型水害では、10分もすれば1メートルから2メートルの急激な水位上昇が起こり、大変危険な状況になることも少なくない。水位情報の防災メールも警戒水位超えと溢水水位超えの2段階だけでなく、3段階や4段階の詳細な情報伝達にすべきと考えるが、いかがか。

防災情報メールの水位情報の運用は、神田川系、妙正寺川系それぞれで、警戒水位及び溢水水位超えになった場合に、該当水位計測地点の属する系列の水位情報が送信されるようになっている。
防災情報メールによるさらに詳細な段階区分での情報発信については、登録受信者にとつて煩雑な着信となる側面もあり、情報発信のあり方について、さらに検討してまいりたい。なお、リアルタイムの水位情報は、現在、区ホームページで閲覧することができる。

メールでの情報入手が困難な高齢者などには、中野ケーブルテレビのLウィンドウによる防災情報が有効であると考える。河川の水位が警戒水位を超えた時点で、防災メールで水位情報を発信した際には、Lウィンドウの画面に同時に水位情報を表示できるようにすべきと考えるが、いかがか。

中野ケーブルテレビのウインドウによる情報伝達は、JCN中野との災害協定に基づき実施しており、今後、水位情報発信についても中野ケーブルテレビと検討 してまいりたい。

区では、東京都災害情報システムの機能を活用して、環七地下調節池への取水情報や貯水量が把握できると聞いているが、取水開始を防災メールで発信すべきと考える。また北江古田調節池においても流入開始情報を発信すべきと考えるがいかがか。

都は、環七地下調節池の取水情報について、一般への提供を行っていないため、区としては現在のところ、防災情報メールで情報発信することができない。情報発信のあり方について、都と協議してみたい。
北江古 田調節池については、1メートル30センチで 自然流入が始まる。今後、防災情報メールの水位情報とあわせて、流入開始情報についても発信できるよう検討してまいりたい。

江古田川は河床が浅く、北江古田調節池には、水位が1メートル30センチを超えるだけで流入してしまう。妙江合流地点で妙正寺川と江古田川の河床の落差が数メートルほどあり、江古田川の河床が高くなっている。江古田川の河床を掘削して流水量の増やす河川改修を東京都に要望すべきと考えるが、いかがか。

東京都では、平成22年11月に、計画期間を概ね20年間とする「神田川流域河川整備計画」を策定し、時間あたり50ミリ規模の降雨に対処できる河道の拡幅及び河床掘削を進めていくこととしている。
この計画の中で、江古田川整備については、「合流する妙正寺川の整備との整合 を考慮し、整備手法の検討を行う」こととしている。区としては、引き続き東京都に対し、河川の氾濫を防止するための河床の掘削など、護岸改修による治水対策を着実に推進するよう、強く要望していきたい。

東京都は、都が設置し管理する河川監視カメラの中野区ホームページヘの映像配信に全く応じない。杉並区と連携を図り、都に対してさらに強く要望すべきと考えるがいかがか。

東京都が設置している河川監視カメラの映像配信については、これまでも、区民への迅速な防災情報の提供のため、東京都と協議を進めてきたところである。
しかし、河川管理施設の運用を目的としていることや、個人情報が映像 に含まれる可能性があることから、映像の配信について合意には至っていない。区としては、杉並区など他の区とも協議し、引き続き東京都に対し、河川監視カメラの映像配信について要望 していきたい。

2.防犯対策について

本年6月、練馬区大泉町の小学校の近くで、児童3人が刃物を持った男に切りつけられる重要事件が発生した。近隣区においてこのような事件が発生した場合、中野区ではどのような対応をとっているのか。
また、中野区では、子どもに関わる犯罪や不審者情報について「中野区安全・安心 (防犯)メール」というメールマガジン形式で配信しているが、先に述べた事件のように、近隣区で発生した事案についても防犯メールを活用すべきと考えるが、いかがか。

近隣区で発生した重要事件については、区内を2台で運行させている「青色灯防犯パトロールカー」を、発生場所に近い区境周辺に集中し警戒させるほか、区の関係分野に情報提供するなど、個々の事案に応じた対応をとっている。
また、近隣区で発生した事案の中でも、中野区との区境直近で発生した ものについては、「中野区安全・安心 (防犯)メール」を配信している。さらに、今後、近隣区の区境直近に限らず、重大な事件が発生した場合には、事案内容 を個別 に判断し、「中野区安全・安心 (防犯)メール」を的確に配信してまいりたい。

中野区内においても、痴漢事件や声掛け事案などといった、女性や子どもに対する街頭事犯が頻発している。こうした事犯の発生場所を広く区民に知らせ、区民が被害に遭うことを未然に防ぐ手段の一つとして「不審者情報マップ」や「犯罪発生マップ」といった地図を作成し、区のホームページに載せるなど周知の必要があると考えるがいかがか。

犯罪や不審者の発生場所を地図に示してホームページ上に載せることは、 安全な地域が一日で分かり、犯罪発生場所を事前に知ることができるなど防犯上、役立つことがある。しかし、犯罪の種類によっては、被害者のプライバシー上の問題や被害者への二次的被害の発生が危惧されるなど、慎重を期す必要があることや犯罪発生が必ずしも場所の特性と関連しているか定かではない ことなどから、ホームページ上に犯罪発生場所の地図を載せることについては、現在のところ考えていない。

3.いじめ対策について

今回、いじめ防止対策推法が制定されたが、いじめ問題については、これまで教育委員会や各学校では、どのように取り組んできたのか。
中野区でも先進的な取り組みとしていじめ防止条例を定めてはどうかと考えるが、いかがか。

中野区では、いじめの早期発見・早期対応・未然防止に向け年3回のアンケートの実施や臨床心理士等による学校への定期的な巡回訪間、教職員への研修の充実等を含む「いじめ総合対策」をとりまとめ、学校、地域、保護者に周知しているところである。
この「いじめ総合対策」を「いじめ防止対策推進法」に基づく基本方針に位置付けているところであり、その着実な実施に努めていきたい。

いじめの被害児童ではなく、いじめを行った児童を別教室に変えさせるという対処を盛り込んでいる今回のいじめ防止対策推進法に則した対応が必要と考 えるが、いかがか。

教育委員会としては、学校と連携をしながら、いじめの態様や状況等を精査し、いじめに対して粘り強い指導を行うとともに、必要に応じて別室での学習も視野に入れて対応していく。

いじめの被害児童が転校を希望した場合、区としてどのような対応を行うのが適切と考えているのか、見解を問う。

いじめを受けた場合の転校については、児童生徒の心身状態や行われたいじめの状況、さらには改善に向けた学校の取組状況等を精査し、適切な対応を図っていきたい。

4.障がい児施策について

中野区では、子ども・子育て支援法に基づき「子ども・子育て支援事業計画」を策定するため幼稚園や保育園、学童クラブ、子育て支援事業などについて「現在の利用状況」や「今後の利用希望」などのアンケート調査を行っている。この調査で中野区は障害児支援について、独自に拡充して調査を行っていると間いたが、内容はどういったものか。

全体的な施設の利用状況の質問の中で、アポロ園の利用を確認できる項目を加え、個別には学齢期の障害児が利用する「放課後等デイサービス」の利用希望等について尋ねる項目を追加した。

障害のある子どもの生活状況は、障害の特徴によって困難なこともそれぞれ違うと聞いている。知的・発達障害のある子ども、重度・重複障害のある子どもたちのニーズをとらえるため、生活状況の実態調査を行うべきと考えるがいかがか。

今年度、重度・重複障害児の通所施設の利用希望について調査を実施したところである。「子ども・子育てのアンケート調査」の結果踏まえ、必要に応じては、中野区障害福祉計画のための意向調査などで、障害のある子どもの生活状況について把握したい。

障害児の中には、医療的ケアの必要な子どもたちがいる。日常生活の中でも、痰の吸引などが必要で、保護者は常に介護をしてお り、ヘルパーを頼む際も、医療的ケアができる事業者が頼りとなる。こういった事業者などについての情報はとても大切で、区は保護者にわかりやすく、きめ細やかに情報提供を行っていくべきと考えるがいかがか。

医療的ケアが行える「特定行為事業者」名簿は、東京都のホームページにおいて、一般の方も閲覧できるところである。中野区の事業者の一覧表は、すこやか福祉センターでも案内しているが、障害児の通所施設等でも受け取れるよう工夫してまいりたい。

重度・重複障害のある子どもの保護者は、子どもから離れる時間がほとんど取れず、子育てについて気持ちを共有したり、情報交換をする機会も持てない。通所施設では保護者会はあるが、保護者が自主的に集うところがない。
子育てに悩む母親が、子育てひろばに集うように、送迎のバスの待ち時間など、ほんの少しの時間でよいから、自主的に集まり、お互いをはげまし、話をしたい希望がある。子どもから離れることもできない現状を踏まえて、新たな施設に、保護者の交流ができるスペースを設けるよう、管理する事業者に働きかけてはみてはどうか。

特に、障害のある子どもを育てる保護者にとって、子育ての情報共有は大切であると認識をしている。来年度から新たに委託するアポロ園や重度・重複障害児支援施設、知的・発達障害児支援施設の運営のなかで、子育ての情報が共有できるよう工夫する等事業者に働きかけを行う。

アポロ園の実施する保育園等巡回訪問事業は、今年度、予算を増額して充実したと聞いているが、保育園からは、まだまだ足りないと声が上がっている。予算の増加だけでなく、事業を工夫することも必要と考える。指定管理にあたって、区はこの事業をどのように実施しようと考えたのかお聞きしたい。また巡回訪問事業は、基本的には、保育園の職員へのアドバイスであるが、保護者へのアドバイスも保育園などでできるとよいと考えるがいかがか。

来年度、指定管理委託にあたっては、訪間にかける時間などの見直しを行い、効率的効果的な事業に転換を図る予定である。また、保護者へのアドバイスは、アポロ園において既に実施しているが、必要に応じて保育園、幼稚園においても実施していく。

障害のある子どもの保護者から、アポロ園など通所施設のことをもつと早くから知りたかったといった声がある。今年度から、乳児の3カ月健診時に配布しているサポートファイルに、障害児の通所施設などについても紹介をした方がよいと考えるがいかがか。

障害児の通所施設やサービスについての情報を追加していく。

5.成年後見制度の充実について

成年後見の活用に必要な費用の助成について、低所得世帯であっても成年後見を使えるように、区長申し立て以外でも、申し立て費用や後見報酬、鑑定費用などの各種費用の助成制度を作ってはどうか

中野区では年間20件以上の区長申立てを行うとともに、その内、生活保護受給者や後見報酬を負担する事が難しい低所得者への費用助成を行っている。成年後見制度の普及と利用促進の取り組みは、今後ますます重要となるが、費用助成策の拡充については、その中で必要性を見きわめていきたい。

認知症程度の鑑定については、費用助成とは別に、介護保険の要介護認定で使われる主治医意見書を活用できるようにしてはどうか。

成年後見審判における後見や保佐など、本人の判断能力程度の医師による鑑定については、家庭裁判所の専権事項であり、介護認定時の主治医意見書の活用など、区独自の方法をとることはできない。

平成26年度から、市民後見人の養成の役割が都から区に移ると聞いている。中野区の取り組みはどうなうているのか。単独での実施が困難ならば他区と共同での開催等を工夫してはどうか。

これまで東京都の委託を受けて社会貢献型後見人研修を実施してきた東京都社会福祉協議会が、平成26年度についても基礎講習を開催すると聞いている。中野区としては、当面、東京都社会福祉協議会を活用して市民後見人を養成していく考えである。

成年後見については、自然人で対応できない時は組織対応も必要であり、法人後見が重要となる。社会福祉協議会が法人後見を行っているが、取り扱い件数が少ない。一方、法人後見を受任する民間の法人機関も増えてきた。法人後見業務の円滑化を図るため、千葉県社会福祉協議会で作成しているような法人後見マニュアルを中野区でも作成 してはどうか。

障害者総合支援法の施行により、区市町村が行う地域生活支援事業に後見人の育成、活用が位置づけられ、市民後見人とともに、法人後見の育成も課題と考えている。区では、これまで中野区社会福祉協議会が法人後見機関として取り組んできている。今後、社会貢献型市民後見人の育成に伴い、NPO法人等による法人後見への参入意向を見ながら、マニュアルの提供も含めた支援策を講じていきたい。