平成27年第1回定例会 賛成討論 3月6日

平成27年中野区一般会計予算に対する賛成討論

ただいま上程されました第6号議案、平成27年度中野区一般会計予算について公明党の立場から賛成討論を行います。平成27年度中野区一般会計予算は、1,327億3,800万円で、前年度に比べ120億5,100万円、10%増となり、過去最高額であった前年度予算を更新する予算額となりました。

これは、まちの安全性を確保するために弥生町六丁目用地や(仮称)南部防災公園用地の取得費をはじめ(仮称)本町五丁目公園や(仮称)本町二丁目公園などの整備費に加え、新区役所用地の取得及び南部すこやか福祉センターや南中野区民活動センター等の整備費など将来を見据えた計画的な投資的事業を計上したことで投資的経費が前年度に比べ26.8%と大幅な伸びとなったことが主な要因となっています。

また、義務的経費のうち公債費が特別区債の元金償還分の減少により前年度比5億3,828万9千円、7.6%増となった一方で、子ども・子育て支援新制度の移行による保育経費の大幅な伸びや障害者給付の増加なども要因となって前年度比17億9,440万3千円、5.6%増となったほか、人件費は国勢調査員の報酬を計上したことから前年度比2,704万6千円、0.1%の微増となり義務的経費としては2.1%増となったことも要因として上げられます。

歳入では、区の基幹収入となっている特別区税と特別区交付金が歳入の5割以上を占めており、特別区税は、316億4317万5千円で前年度と比べて11億4089万9千円、3.7%増となりました。また特別区交付金は都市計画事業の進展による財産費の増加分の影響により前年度比13億円、3.9%増の350億円の見込みとなりました。

しかしながら、地方消費税率の引き上げに伴い、地方法人課税の見直しや自動車取得税の税率改正が行われたことで、中野区における税収影響額は平成27年度では11億円、地方法人課税の見直しが平年度化する平成28年には20億円以上の減収を見込まざるを得ません。

国は、都市と地方に税収の格差があることを理由に、平成26年度税制改正で、地方自治体の財源である法人住民税市町村分の一部を国税とし、これを地方の自治体間で分配する改正を行いました。

今回の国の措置に対して、地方自治の根幹を揺るがす税制改正であり、明らかに地方自治の本旨に反するものであると断じるとともに、消費税が10%の段階では、さらなる国税化を進めるとしていることから、区としてもまた議会としても、需要に見合う地方財源の拡充という本質的な問題に取り組むよう主張しなくてはならないと考えます。

区は予算編成や財政運営にあたって「基準となる一般財源規模」を平成27年度以降は15億円上乗せし672億円に変更するとしました。景気動向を見据えながら「基準となる一般財源規模」を超過すると見込んだ歳入については基金に積み立て、下回る場合は基金から繰り入れを行うこととしています。一般財源充当事業費は682億円となり、基準額672億円を10億円超過し財政調整基金から10億円を取り崩さざるを得ない状況となりました。

歳入については、国や東京都の補助金の確保に最大限に努め、自主財源の確保にも更なる施策を図るよう求めるとともに、歳出については各種事業の精査を図り、引き続き「基準となる一般財源規模」に近づける取り組みを継続していく事で持続可能な財政運営を図るべきと考えます。

歳出では、誰でも無料で利用可能なWi−Fi環境の整備や中野駅西側南北通路及び橋上駅舎整備とそれに伴う中野三丁目駅直近地区における土地区画整理事業、西武新宿線沿線まちづくり・連続立体交差事業などまちの活性化や安全のまちづくりが図られました。また子育て支援では産後ケア事業など妊婦・出産・子育てトータルケアの充実と通学路防犯設備整備や小中学校耐震対策の推進により平成27年度で耐震化率が100%となり、子どもの安全対策が講じられました。さらに高齢者総合窓口の設置や(仮称)摂食・えん下機能支援センターの設置、成年後見制度等報酬・申立費用助成事業など高齢者や障害者施策の充実など我が会派が要望してきたことが予算化されたことは高く評価するものです。

マイナンバー制度の対応や子育て・介護の新制度が展開されていく中で、必要不可欠な新規事業による歳出増は避けることができないことから、予算編成においては積算の精度を上げるとともに秩序正しい財政規律に基づく運営と揺るぎない財政基盤を築くよう強く求めておきます。

平成27年度は中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画の改定を控えている重要な節目となります。今後、向かえる学校再編や跡地計画、区役所・体育館の移転・建替え、中野駅周辺のまちづくり、西武新宿線沿線まちづくり、防災まちづくりと、区はこれから未だ経験のしたことのない事業に取り組もうとしています。

被災地の復興、2020年東京オリンピックを目指し、資材の高騰や担い手不足等の懸念もあります。財政的な裏付けを持つことは当然として、事業完了までの明確なスケジュールを示すことが望まれます。持続可能な自治体として、31万人区民の次代を担う責任ある基本構想・10か年計画となることを願っております。

なお、共産党から提案された組み替え動議については、積算の大幅な誤りがあったことから、分科会の運営を巡り議会の混乱を招きかねない状況となりました。区民のためを思って真剣に提出されたものとは全く思えない、無責任極まりない動議であり、自らのパフォーマンスだけのために、議会を利用することは慎むべきと申し添えて賛成討論と致します。