平成27年第3回定例会 賛成討論 10月5日

 

ただいま上程されました認定第1号、平成26年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について及び認定第2号、平成26年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について、公明党議員団の立場から賛成討論を行います。

平成26年度の普通会計は、歳入総額が1,323億7,712万8,000円で、前年度に比べ169億9,360万8,000円、14.7%増となりました。また実質収支額は44億611万5,000円で前年度と比べ25億8,287万6,000円、141.7%の大幅な増となりました。これにより実質収支比率は、概ね3%〜5%範囲内が適正とされるなか3.5ポイント増の6.2%の大幅な伸びを見せました。

単年度収支は25億8,287万6,000円の黒字で、前年度に比べ24億1,643万6,000円の増となりました。また実質単年度収支は単年度収支の大幅な増や財政調整基金の取り崩しを行わなかったことなどにより、49億9,264万9,000円の黒字で前年度に比べて7億9,830万7,000円の増となりました。単年度収支も実質単年度収支もそれぞれ大幅な伸びとなりました。

経常収支比率は、概ね70%〜80%程度が適正とされるなか前年度比5.9ポイント減の85.1%と依然として高い水準となっています。この要因としては(仮称)本町5丁目公園用地や(仮称)南部防災公園用地を用地特別会計から一般会計に買い戻す際の公債費が経常経費として充当されたことによります。

今後も大規模公園用地の分割取得が計画的にあることから経常収支比率が高い水準で推移していくことが予測され、財政構造の弾力性を図るためにも国及び都の補助金や特別区交付金の財産費相当分の財源の確保が望まれます。

平成26年度決算は、様々な財政指標をみても近年まれにみる好決算であったと思います。その要因はひとえに歳入が当初予算よりも大きく伸びたことによるものです。

しかしながら、自治体の財政力を判断するための指標である財政力指数は特別区平均の0.52を下回る0.49でありこの3ヶ年は同じ数値で推移していることから、楽観視はできない状況であるため、財政非常事態の解除には、財政指標の今後の推移を見守る必要があると思われます。

一般財源は、746億5,549万8,000円で、前年度と比較して55億8,628万円、8.1%増となりました。この要因は、特別区税や特別区交付金、地方消費税交付金の増によるものです。特別区民税は納税義務者数の増などの要因により、現年課税分は前年比に比べ17億3,478万円余、5.95ポイント増の97.5%で、滞納繰越分の徴収率も2.2ポイント増の91.6%となっています。しかしながら依然として23区平均の徴収率より下回っており今後の更なる取り組みが必要です。

国は、平成26年度税制改正において地方消費税率の引き上げにより、地方自治体の財源である法人住民税の国税化を新たに導入し、消費税率10%の引き上げ時には、更に国税化を進めるとしています。

この国の措置に対して、地方自治の根幹を揺るがす税制改正であり、明らかに地方自治の本旨に反するものであります。地方自治体の財源確保の根本原則をゆがめる住民法人税の国税化に対しては、直ちに撤廃するよう求めるものです。

歳出総額は1,274億2,957万6,000円で、前年度に比べ149億3,802万7,000円、13.3%増となりました。性質別歳出で見ると義務的経費では627億8,581万4,000円で全体の49.3%を占めており前年度より1.6ポイント減少しました。

人件費は、職員2,000人体制を達成した昨年度よりも60名の減少が見られ、前年度より2.9%、6億409万8,000円の減となりましたが、少数精鋭体制での職員の力量が試され、本当の意味での真価が問われることになってきます。

また公債費は、区債元金償還金が減少したことで前年度に比べ18.8%減の102億4,275万2,000円となりました。今後、大規模公園用地等の取得に伴う多額な償還金が続いてきます。今後の区債の活用では事業の計画性を見極め、適正かつ適切に行われるよう求めます。

また投資的経費では前年度比113.1%、107億1,433万6,000円増の201億8,416万9,000円となりました。これは弥生町6丁目用地の取得などが主な要因です。

歳出では、我が会派として要望してきた見守り対象者名簿の町会・自治会への提供や災害時避難行動要支援者名簿の区民活動センターや防災センターへの配備、要支援者の個別避難支援計画の作成準備、南部の障害児支援施設整備など地域における見守り・支えあい活動の推進を図られました。

毎年、喫緊の課題となっている待機児童対策では、区立保育園2園の建替え・民営化そして賃貸物件及び区有施設等を活用した認可保育所や認可小規模保育事業の開設などで保育定員を増加させたことは評価します。

安全・安心のまちづくりでは、中野駅周辺のまちづくりや西武新宿線沿線まちづくり、大和町・弥生町の防災まちづくり、大規模公園整備などの推進が図られました。まちづくりでは、様々な地元の課題に取り組み、着実な計画の推進を求めます。

共通番号制度の対応に伴うシステム改修や認知症コーディネーターの配置、生活保護では、新たな自立支援対策やジェネリック医薬品の使用促進及び健康管理支援を実施して、医療扶助費の適正化が図られたことは評価します。

また平成26年度決算の不用額総額は57億3794万1,000円と構成比は昨年度より低いものの過去最高額であり、その内1千万円以上の不用額合計は51億1,418万7,000円で89.1%を占めている状況となりました。

予算編成をする際には各種事業の積算の精度を上げるとともに、事業の執行段階において予算の確保に無理が生じた場合には減額補正などの対応も考慮すべきであると指摘しておきます。

歳出については、物価上昇や地方消費税率の引き上げにより財政運営上の努力はしてきていると思いますが、適正かつ適格な歳出抑制が必要であります。今後、超高齢化社会を見据えるにあたって、社会保障費が増大していく課題に対応するためには、将来的な負担の担保が必要となってきます。特に財政調整基金については年度間調整だけでは、基金計画が成り立たなくなっていくことが予測され、長期的な基金の運用と積立を着実に進めることが必要です。

最後に、10か年の改定にあたっては、新たな財政運営の考え方を検討していますが、全体像を示した中期計画のもとで進めなくてはなりません。さらに区の基幹収入である特別区税や特別区交付金の歳入の確保は勿論のこと事業執行に見合った特別財源の確保に努めるとともに国や都の動向を見据えた上で、区民生活を守るための堅実な財政運営を求め、賛成討論と致します。